ヒドジョウの飼い方完全ガイド|水温・混泳・繁殖まで徹底解説

水槽の底をニョロニョロと這い回る、鮮やかなオレンジ色の小さな体——ヒドジョウは見た瞬間に「これは何の魚?」と思わず目が止まってしまう不思議な魅力を持っています。ドジョウといえば地味な茶色というイメージがありますが、ヒドジョウはその常識を覆す色鮮やかさで、川魚水槽のアクセントとして非常に人気が高い品種です。丈夫で飼いやすく、他の魚との混泳も楽しめるため、川魚飼育の入門種としてもおすすめです。

ヒドジョウはコイ目ドジョウ科ドジョウ属に属する淡水魚で、マドジョウ(Misgurnus anguillicaudatus)の突然変異(色素欠乏変異)によって生まれた品種です。体の色素が失われたことでオレンジ色に見えるため、「緋(ひ)ドジョウ」とも呼ばれます。自然界にはほぼ存在せず、観賞用として養殖された個体が流通しています。

ヒドジョウとは

ヒドジョウ 全身がオレンジ色に発色するマドジョウの色素変異個体 口周りに10本のヒゲを持つ

ヒドジョウの最大の特徴は体全体がオレンジ色(淡橙色)に発色する点です。これはメラニン色素が欠乏した「アルビノ」に近い変異で、通常のマドジョウが持つ茶褐色の模様がなく、目も赤みがかっています。体型は細長くニョロニョロとした流線形で、口の周りには感覚器の役割を果たす10本のヒゲを持っています。また体表に鱗はなく、代わりにヌルヌルとした粘膜で体を保護しています。

底砂の中に潜ったり、水槽の壁面をよじ登るような仕草を見せたりと、動きがユニークで見ていて飽きないのもヒドジョウの魅力です。マドジョウとまったく同じ遺伝子を持ちながら、オレンジ一色という自然界では見られない鮮やかな体色は、観賞用ドジョウとして国内外で高い人気を誇ります。性格は温和で、初心者でも扱いやすい入門種のひとつです。

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ヒドジョウの飼い方

マドジョウと飼育方法はほぼ同じで、基本を押さえれば初心者でも安心して飼育できます。まず基本スペックを確認しましょう。

項目目安・詳細
最大体長約10〜15cm
寿命約3〜5年(飼育環境により変化)
水温5〜25℃(最適:15〜22℃)
pH6.5〜8.0(弱酸性〜弱アルカリ性)
推奨水槽45〜60cm以上(フタ必須)
底砂田砂・川砂・大磯砂(細かめ推奨)
ヒーター基本不要(室内の自然水温でOK)
難易度★☆☆☆☆(丈夫で初心者向き)

水質は弱酸性〜弱アルカリ性(pH 6.5〜8.0)と幅広く対応でき、水質への適応力が高いため水換えにもよく耐えます。水温は5℃程度の低水温から25℃程度まで耐えられる丈夫さが魅力です。ただし28℃を超えると酸欠や体力低下のリスクが高まるため、夏場の高水温には注意が必要です。底砂は田砂や細かい川砂など細かめの素材を選ぶと、潜る習性のあるヒドジョウが自然な行動を取りやすくなります。フィルターは外掛け式や上部フィルターが適しており、水流は穏やかに設定してください。餌は沈下性の川魚用フードや冷凍赤虫をよく食べます。

上級者向け
底砂の選択と潜行習性を活かした飼育環境の設計
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混泳させる際のポイント

ヒドジョウ 金魚やメダカと混泳している水槽 底層で活動する温和なドジョウ

ヒドジョウの性格は基本的に温和で、金魚やメダカと一緒に飼育されているケースも多く見られます。底層をメインに活動するため、中・上層を泳ぐ魚とは自然に棲み分けができる点も混泳向きの特徴です。ただし、口に入るサイズの小さな魚や弱った個体はエサと認識して追いかけることがあるため、稚魚や極端に小さな魚との混泳は避けてください。また残り餌を食べてくれるクリーナーとしての役割も果たすため、水質維持の面でも他の魚にとってプラスになります。

混泳に向いている種

  • 金魚(和金・コメットなど) ─ 底層と中層で棲み分けができ、残り餌も処理してくれる
  • メダカ(成魚) ─ 層が違うため争いが起きにくい。ただし稚魚は注意
  • シマドジョウ・マドジョウ ─ 同じドジョウ科で相性がよく、穏やかに共存できる
  • モツゴ・タナゴ類(成魚) ─ 穏やかな川魚で同居しやすい
  • ヤマトヌマエビ ─ サイズが大きいため食べられにくく、コケ取りにもなる

要注意の種

  • 小型のメダカ稚魚・川魚稚魚 ─ 口に入るサイズはエサと認識されるリスクがある
  • 弱った個体全般 ─ 動きが鈍くなった魚を追いかける場合がある

混泳を避けたほうがいい種

  • ヨシノボリ・オヤニラミ ─ 縄張り意識が強く、底層のヒドジョウに攻撃を加えることがある
  • ナマズなど大型肉食魚 ─ 捕食される危険性が高い
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産卵についてのポイント

産卵のタイミングと特徴

ヒドジョウはマドジョウと同じく春(4〜6月)が産卵シーズンです。自然界のマドジョウは水田や小川の水草に卵を産み付けますが、ヒドジョウは色素変異個体であるため、一般的な飼育環境での繁殖成功例はほとんどなく、養殖場ではホルモン剤を使って人工的に産卵を誘発するケースがほとんどです。繁殖を楽しみたい場合はマドジョウのペア飼育から挑戦するほうが現実的です。

産卵〜稚魚育成の流れ(参考)

マドジョウ(ヒドジョウの元となった種)の産卵過程を参考として紹介します。ヒドジョウで自然産卵に挑戦する場合も基本的な流れは同様です。

ステップ内容
1. 産卵誘発水温が15〜18℃程度になる春に、水換えを行って水温・水質の変化を与えることで産卵を促す。繁殖専用水槽を用意してオスとメスを2:1程度の比率で飼育する
2. 産卵水草(アナカリスやマツモ)に卵を産み付ける。産卵後は親魚を別水槽に移して卵を食べられないようにする
3. 孵化水温20℃前後で産卵から2〜3日で孵化する。孵化直後の稚魚は非常に小さく、インフゾリア(ゾウリムシなどの微生物)が最初の餌となる
4. 稚魚育成全長5mm以上になったらブラインシュリンプや稚魚用フードに切り替える。成長は比較的早く、2〜3か月で1cm前後まで育つ
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ヒドジョウを飼う際の注意点

ヒドジョウ 水槽内を底砂付近で泳ぐ様子 細長い体型と鮮やかなオレンジ色が特徴的

① 必ずフタを設置する
ドジョウ類全般の最大の注意点が飛び出し事故です。ヒドジョウは活発に動き回り、水槽のガラス面をよじ登って飛び出すことがあります。わずかな隙間からでも脱出するため、フタは全面をしっかり覆えるものを用意し、コードの引き込み口などの隙間はスポンジで塞いでください。

② 高水温(28℃超)に注意する
ヒドジョウは低水温には強いですが、夏の高水温には弱い面があります。28℃を超えると酸欠を起こしやすくなり、体力が低下します。夏場はファン式クーラーや遮光シートで水温管理を行い、エアレーションを強化して溶存酸素を確保してください。

③ フィルターの吸水口にスポンジカバーを付ける
細い隙間に潜り込む習性があるため、フィルターの吸水口に吸い込まれて死亡する事故が起きやすいです。スポンジフィルターやストレーナースポンジを吸水口に取り付けることを必ず行ってください。

④ 口に入るサイズの小魚・稚魚と同居させない
温和な性格ですが、動きが鈍い魚や稚魚など口に入るサイズのものはエサとして認識することがあります。メダカの稚魚や弱った個体のいる水槽への導入は避けてください。

⑤ 粘膜を傷つけないよう取り扱いに注意する
ヒドジョウの体表は鱗がなく繊細な粘膜で覆われています。網で掬う際に網に絡まって粘膜を傷つけることがあります。水槽の移動時はなるべく容器ごとすくうようにし、やむを得ず網を使う場合はソフトネットを使いましょう。

かかりやすい病気と対策・予防

ヒドジョウは丈夫な種ですが、水質悪化や急激な水温変化があると病気にかかりやすくなります。鱗がないため体表の粘膜が傷つきやすく、傷から感染症が起きることも多いため注意してください。

白点病

体表や鰭に白い小さな点が現れ、体を底砂や岩にこすりつける仕草が見られます。水温の急変や導入時のストレスで発症しやすくなります。

  • 治療:水温を25〜27℃にゆっくり上げながら、市販の白点病治療薬(アグテンやグリーンFクリアーなど)で薬浴する
  • 予防:新しい魚を導入する際は別水槽で1〜2週間トリートメントを行い、水温変化を緩やかにする

尾ぐされ病

尾びれや鰭の端が白く溶け始め、進行するとボロボロになります。カラムナリス菌の感染が原因で、水質悪化や体表の傷口から侵入します。鱗のないヒドジョウは特に注意が必要です。

  • 治療:塩浴(0.5%程度)+エルバージュエースやグリーンFゴールドなどの抗菌薬で薬浴する
  • 予防:定期的な水換えと過密飼育の回避。傷をつけないような底砂選びも重要

水カビ病

体に白い綿のようなものが付着します。体表の傷口から発生しやすく、水温低下時に発症しやすくなります。鱗のないドジョウ類に多く見られる病気です。

  • 治療:グリーンFやメチレンブルーによる薬浴。患部の綿状物を綿棒で優しく取り除いてから薬浴開始
  • 予防:水温を安定させ、鋭い底砂や装飾品などで傷を作らないようにする

松かさ病(エロモナス感染症)

鱗が逆立ち体が松かさのように見えます。ヒドジョウは鱗がないため、体表がむくんだように見えることがあります。治癒が難しいため早期発見が重要です。

  • 治療:グリーンFゴールドやパラザンDによる薬浴
  • 予防:バランスのよい餌やり・定期水換えで免疫力を維持する

病気を防ぐ基本ケア

  • 週1回・1/3程度の定期水換えで水質悪化を防ぐ
  • 新規導入時は必ず別水槽で1〜2週間トリートメントを行う
  • 鋭い底砂・装飾品・フィルター吸水口による体表の傷を防ぐ

推奨飼育セットの提案

ヒドジョウを快適に飼育するためのおすすめ器具セットを紹介します。潜行習性と飛び出し防止を考慮した構成です。

カテゴリおすすめ理由
水槽45〜60cm(スライド式フタ付き)飛び出し防止フタは必須。隙間のないタイプを選ぶ
フィルター外掛け式 or 上部フィルター+ストレーナースポンジ吸水口へのドジョウの吸い込みを防ぐスポンジカバーが必須
底砂田砂・細かい川砂(厚さ3〜5cm以上)潜行習性を活かせる細かい素材を選ぶ。ソイルは不可
エサ(主食)沈下性の川魚用フード・ドジョウ用フード底層で採餌するため沈下性が必須。浮上性フードは食べ損ねることが多い
エサ(補助)冷凍赤虫・冷凍イトミミズ嗜好性が高く食欲増進・コンディション向上に効果的
ヒーター基本不要(夏場のファン式クーラーは検討)低水温に強いため加温不要。高水温対策の方が重要
水草アナカリス・マツモ・ウィローモス産卵床になるほか、水質浄化・隠れ場所としても機能する
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よくある質問(FAQ)

「ヒドジョウ」という名前の由来は何ですか?
マドジョウとの違いは何ですか?
金魚と一緒に飼えますか?
水槽から飛び出すのを防ぐ方法はありますか?
底砂に潜ってしまって姿が見えません。大丈夫ですか?

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まとめ

ヒドジョウはマドジョウの突然変異(色素変異)によって生まれた、全身がオレンジ色に輝く観賞用ドジョウです。丈夫で水質への適応力が高く、金魚や川魚との混泳も楽しめる扱いやすい種です。

飼育のポイントはフタによる飛び出し防止・細かい底砂と適切な厚さの確保・フィルター吸水口へのスポンジカバー取り付け・夏場の高水温対策の4点です。病気は体表の傷からの感染が多いため、定期水換えと環境整備による予防を徹底してください。

水槽の底をニョロニョロと泳ぎ回り、砂に潜ってはひょっこり顔を出す——そんな愛嬌あふれる動きと、どんな水槽にも映える鮮やかなオレンジ色は、ヒドジョウならではの唯一無二の魅力です。川魚水槽のにぎわいを一段と高めてくれる存在として、ぜひ一匹迎えてみてください。

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